相続の苦しみをなくしたい

先日、相続業務についてプレゼンテーションをする機会があり、その際に、以下のような話をいたしました。

相続でもめてしまった場合、当事者の苦しみ(ストレス)は非常に大きいように感じます。
体調を崩す方も多いです。

その苦しみというのは、どこから来ているのか、改めて考えてみました。
それは、一言でいうと、人間関係の苦しみかと思います。
さらに言えば、嫌いな「あの人」と向き合わなければならない苦しみとも言えます。

例を挙げます。両親が相次いで亡くなって、相続人が子供たち数人のきょうだいであったとします。
そのきょうだいで仲が悪い者がいた場合、そのきょうだいは、若い時には喧嘩が絶えなかったとしても、
年をとっていくと、次第に疎遠になり、喧嘩も起こらなくなっていくことが多いです。
ところが、親が亡くなると、仲が悪いきょうだい同士で遺産分割協議を行わなければならなくなるのです。

せっかく疎遠になったきょうだいと、また言い争うことになるのか…。
相続の苦しみは、そういうところから来るケースが多いように感じています。

では、その苦しみをなくすことはできないのでしょうか。
弁護士が提供できる方法としては、以下の二つが代表的なものかと思います。

一つは、弁護士を代理人にする、という方法です。
弁護士を代理人にすれば、仲の悪いきょうだいに向き合うのは、もっぱら弁護士、ということになりますから、
ご本人の苦しみは、かなり軽減されてきます。

もう一つは、生前に遺言を作成していただく、という方法です。
遺言は、遺言者が亡くなった際に、財産をどのように分けるのか、ということをまとめた文書ですから、
遺言を作成した方が亡くなった場合、財産は、遺言書の記載どおりに分ければよく、相続人が改めて協議する
必要はありません。
遺言の内容によっては、遺留分が問題となるケースもあり得ますが、遺言書を作成する際に、この点について
留意しておけば、その問題を避けることも可能です。

私は、相続で苦しむ依頼者の方を数多く見てきました。その苦しみをなくすことができればどんなにいいだろう、
と思います。

せめて、その苦しみを軽くしたい。そう思いながら、相続業務を行っているのです。

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