4月14日~15日の2日間にわたり、第88回先物取引被害全国研究会に参加しました。
今回、最も注目していたのは被告(加害者)の特定に関する報告です。
インターネット等の新しい通信技術により、身元を隠して行われる詐欺事件が増加し、加害者情報(裁判で被告を特定するための情報)を取得することの困難な事案が頻発しています。「国際ロマンス詐欺」など、アプリ上の通信記録しか手掛かりがないケースは、加害者情報を取得できずに、依頼を受けられないケースとなることが多くありました。
このようなケースでは、通信・送金手段から加害者を割り出すことになりますが、弁護士会照会に応じないSNS業者や、道具屋が闇売買する第三者名義口座が利用され、詐欺の企画者にたどり着くことが困難でした。
特に、調査の障害となっていたのがLINEの通信機能を介して行われた詐欺事案です。運営会社であるLINE株式会社は、弁護士会照会に対してほとんど回答しないため、足がつきにくいLINEを詐欺グループが使うという傾向が顕著でした。
昨年、LINE社が登録電話番号を回答したという報告を耳にしていましたが、今回の研究会では、そのケースを含めて3件の回答例が報告されました。
3件の回答例から、LINE社が全く回答しないわけではないこと、アプリ上の「通報」制度を利用して相手方を特定した照会に回答していること、他に被害回復の手段がないことを強調して照会請求していること、などが報告されていました。
工夫を凝らして照会請求を行った担当弁護士さんに敬意を表したいと思います。
(写真は名古屋駅のナナちゃんです。)