今月は、アウトドア関連の事故の相談が2件ありました。
(以下、内容はアレンジしています。)
1件は、ボルダリング教室のレッスン中に小学生が壁から落下して負傷した、というものです。
もう1件は、ツアー中のアクティビティーで急流を滑り台のようにして滑り降りている際に
身体が岩に衝突して負傷した、というものです。
コロナ禍以降、アウトドア人口が急増しており、それに伴い、上記のような事故も増加する
かもしれません。
アウトドアの事故に起因する損害賠償請求をレッスンやツアーの主催者側に行う際、以下の点が
課題となることが多いように思います。
一つは、事故の状況を再現することが困難であることです。アウトドアでは、現場の路面・水面
等の状況、天候、当事者の動き方などで責任のあり方が大きく左右されますが、それらの状況が
刻一刻と変化する場合もあり、また、第三者に理解できるように再現することが困難な場合も
多いと思われます。
もう一つは、負傷した参加者自身の責任も一定割合生じる(その分賠償額は減額される)事案が
多いと思われることです。アウトドアでの行動には危険がつきものであり、参加者もそれを理解
して参加した、と考えられるからです。
もっとも、参加者が全面的に自己責任で行動すべき、とするのは不適切です。この点、ツアー
参加者に「事故は全て自己責任」との免責条項を含む同意書への署名を強要するのは消費者契約法
に違反するとして、条項使用差し止めを求めた訴訟が提起され、条項を削除することで和解した
事例があります。