今年の4月21日、所有者不明土地の解消に向けた民法等の改正法と相続土地国庫帰属法が
成立しました。
所有者不明土地とは、①不動産登記簿により所有者が直ちに判明しない土地、②所有者が判明
しても、その所在が不明で連絡が付かない土地のことをいいます。
我が国の土地の22パーセントが所有者不明土地であるとの調査結果もあります。
所有者不明土地は、所有者の探索に多大な時間と費用が必要なため、公共事業や復旧・復興事業が
円滑に進まず、民間取引が阻害されるなどの問題点が指摘されています。
そこで、今回の法改正では、所有者不明土地の「発生の予防」と「利用の円滑化」の両面から
法制度の整備が行われています。
まず、「発生の予防」の観点から、不動産登記法を改正し、これまで任意とされていた相続登記や
住所等変更登記の申請を義務化しつつ、それらの手続の簡素化・合理化策が盛り込まれています。
また、同じく「発生の予防」の観点から、新法(相続土地国庫帰属法)を制定し、相続等によって
土地の所有権を取得した者が、法務大臣の承認を受けてその土地の所有権を国庫に帰属させる制度を
創設することとしています。
次に、「利用の円滑化」を図る観点から、民法等を改正し、所有者不明土地の管理に特化した
所有者不明土地管理制度を創設するなどの措置を講じることとしています。
なお、施行期日は、原則として公布後2年以内の政令で定める日(相続登記の申請の義務化関係の
改正については公布後3年、住所等変更登記の申請の義務化関係の改正については公布後5年以内の
政令で定める日)とされています。