成年後見制度を利用した人の職業を制限する「欠格条項」が、おととしまで国家公務員法や自衛隊法
などの法律に規定されていましたが、その当時、この規定によって警備員の仕事を失った岐阜県の
男性が国を訴えていた裁判で、岐阜地方裁判所は、この10月、かつての法律の規定は職業選択の自由
などを保障した憲法に違反すると判断し、国に10万円の支払いを命じました。
軽度の知的障害がある岐阜県の30代の男性は、警備員の仕事をしていた4年前、成年後見制度の利用を
始めましたが、当時の警備業法に規定されていた後見制度の利用者を警備の仕事に従事させては
ならないとする「欠格条項」のために退職を余儀なくされたことから、国に損害賠償を求める訴えを
起こしていました。
今回の判決では、「成年後見制度を利用した人を一律に排除するのは、立法府の合理的な裁量の範囲内
にあると言えず、法の下の平等や、職業選択の自由を保障した憲法に違反している」という判断が
示され、さらに、「平成22年に成年後見制度に関する研究会の報告で、資格制限を設ける場合は
必要性を慎重に検討するとされたのに、おととしの法改正までそのままにしてきた」と指摘し、男性に
10万円を支払うよう国に命じる判決が言い渡されました。
「欠格条項」は、警備業法のほか、国家公務員法や自衛隊法など187の法律に規定されていましたが、
見直しを求める声の高まりを受け、おととしの法改正ですべての法律から削除されています。