特定遺贈と包括遺贈について

今回は遺贈(遺言によって行う贈与)についてです。

私を遺言執行者に指定する旨を含んだ遺言を作成していた方が亡くなられました。

遺言の内容は、財産の一部を何人かの親族に相続させ、残りを3つの団体に3分の1ずつ寄付(遺贈)する、
というものでした。

私は、その3つの団体にそれぞれ連絡し、遺贈を行うための手続きの確認をしました。そうしたところ、
そのうちの一つの団体の担当者が、遺言の内容を確認したうえで、「この内容ですと包括遺贈になりますね。
相続財産の中に債務はありませんか?」と質問してきました。

遺贈には二つの種類があります。一つが特定遺贈で、もう一つが包括遺贈です。

特定遺贈は、特定の財産を指定してその財産を受遺者に遺贈することをいいます。この場合、その受遺者には、
遺言で指定されている財産以外の財産は引き継がれません。

これに対し、包括遺贈は、受遺者が引き継ぐ相続財産の割合を指定して遺贈することをいいます。この場合、
相続財産に債務が含まれる場合は、受遺者は、その債務も指定された割合で引き継ぐべきことになります。

受遺者の側では、債務を引き継ぎたくないなど、その遺贈を受けたくないと考えた場合には、遺贈の放棄の手続きを
することができます。特定遺贈の放棄と包括遺贈の放棄は、手続きも異なります。

今回の遺言は、寄付を行う先の3団体との関係では、それぞれ3分の1ずつという割合が指定されていますから、
包括遺贈にあたります。

質問をしてきた団体は、寄付はありがたいとしても債務を引き継ぐことは避けたいという方針があったからか、
冒頭の質問をしてきたのだと思われます。このケースでは、債務はありませんでしたので、その団体も寄付を
受け入れてくれました。

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